美味しい漬物屋さんになるために

最近、セーラー万年筆(7992)という企業の株価が伸びてきて、色々考えている。

何を隠そうこのカブ、僕が相場から遠ざかっていた5年間ほど、塩漬けにしていたカブなのだ。

去年、株を再開するときに心機一転と思って損切りを行ったが、最近になって、その頃の水準を越えてきた。業績が改善され、継続企業前提に関する注記が外れたらしい。

しかし、別にそれが悔しくてこの記事を書いたわけではない。

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このカブが塩漬けになったのは、完全にイナゴとなって嵌まってしまったからだ。

何だかもう忘れてしまったが、ちょっとした材料が出て、それに飛び付いて、そのまま滑空しながら塩の海に突っ込んで行ったと思う。

このカブを買ったとき、僕はその材料以外に何も見なかった。配当や優待はあるのか、業績はどうなのか、信用残は、株主構成は。決算も開示も見ないから、「継続企業の前提に関する注記」が続いていたことすら、知らなかった

その頃の僕は、テクニカル指標と突発材料しか見ない、本当に愚かな投機家であった。

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同じ塩漬けにするにしても、良い塩漬けと、悪い塩漬けがあると思う。

例えば配当や優待が利回り3%程度ある会社のカブなら、5年間も漬け込んでおけば、ある程度の下落幅をカバーできるだろう。それが元々体力のある企業で、何らかの原因で、根本のビジネスモデルは崩れないが、株価だけが急落してしまったようなケースは、回復だって十分に期待出来る。塩漬けで美味しく食べられる可能性は、大いにある。

一方、配当も優待もない、ビジネスモデルもよく分からない企業の株が落ち込んだとき、それが回復するまでにはどれ程の時間を要するか分からない。当然その間は何も恩恵を受けられない。

これは完全に不味い塩漬けになる。我慢出来ずに売ってしまおうと塩から掘り出したら、腐っていて売り物にならない、という結果になるだろう。

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含み損を抱えて塩漬けにしようとしている方は、まずその株は漬物にしてもいいカブなのかを、精査して欲しい。

配当や優待を受け取りながら、いつか回復してくれるのならば、それは立派な長期投資だ。美味しい漬物になるだろう。

僕のように、ただ損を認めるのが怖くて、目を閉じて塩樽の中に放り投げるのは、どうかやめて欲しい。

「塩漬け」というのは、あくまでも最後には美味しく食べるための保存方法だ。「捨てるのがもったいないから、とりあえず塩漬けに」というのは、ナンセンスだろう。

さらに言えば、出来ればそのようなカブは最初から仕入れない、賢明な漬物屋さんを目指したい。


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